疲れているのに眠れない。眠れないと体にはどんな影響がある?睡眠不足のリスクと対策を解説。

睡眠は、人生の3分の1を占める重要な時間です。また、日ごろの疲労を回復するためにも欠かせません。
ところが、疲れているのに眠れないといった悩みを抱えて当院に相談に来られる方も多いのです。
日ごろから眠れない人は、十分な睡眠を取れていない可能性があります。
良質な睡眠をとるためには、睡眠の質と時間のどちらを大切すべきでしょうか。
本記事では、ブレインパークを監修した精神科医の木村好珠先生が「良質な睡眠をとるためのコツ」を解説します。
目次
眠れない日本人は多い?ショートスリーパーは存在するのか?
多くの日本人が、日ごろから眠れないことに対して悩みを抱えています。
中には自分のことをショートスリーパーと考え、極端な短時間睡眠の人も。
ここでは、どれくらいの日本人が睡眠不足なのか?または、どれくらいの人がショートスリーパーなのか?について解説。
最適な睡眠時間の目安もお伝えします。
日本人の多くは睡眠不足
日本人の睡眠時間は他国に比べて少ないといわれています。多くの日本人が、睡眠不足であることが予想できます。
2018年にOECDが睡眠についての調査を行いました。それによると、日本人の平均的な睡眠時間は7時間22分で、OECDに加盟する30か国の中で最も少ない結果でした。
アメリカやフランス、イギリス、スペインなどと比べても、1時間以上も睡眠が少ない状態です。
また2020年のNHKの「国民生活時間調査」によると、60代の女性と、70歳以上の男女の睡眠時間が減少傾向であることがわかりました。
厚生労働省が行った「令和2年 健康実態調査結果の報告」によると、女性のうち睡眠時間が5時間未満と答えた人は全体の10.9%に上ったとの報告もあります。
睡眠時間が5時間を切ると、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。
では次に、ショートスリーパーの人数もチェックしてみましょう。
ショートスリーパーはごく少数
睡眠時間が短い人の中には、自身のことをショートスリーパーと考える人もいます。しかし、ショートスリーパーに当てはまる人はほんの一握りです。
本当のショートスリーパーは10万人中4人しかいないといわれています。
本当のショートスリーパーとは、短時間睡眠でも平気でいられる遺伝子を持っている人のことを指します。
2019年、神経科学の専門誌「ニューロン」にて、ショートスリーパー遺伝子の発見について掲載されました。
つまりショートスリーパーは、遺伝子レベルで決まるため、努力でなれるものではないことが分かったのです。
ショートスリーパーと考えても、実は勘違いの可能性もあるため注意しましょう。
睡眠時間の目安は?
睡眠時間の目安は次のとおりです。
年齢と共に、睡眠時間が低下する点はポイント。年齢を重ねるごとに眠りづらくなるのは自然なことだといえます。
一方で、子どものころはしっかりと睡眠を取って、発育を促すことが重要でしょう。
眠れない場合に抱える美容と健康に関する6つのリスク
睡眠不足が続くと、がんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病につながります。また頭痛やうつ病などの精神疾患、認知症などを発症することも。
さらに老化が進んだり、肌荒れに悩まされたりするなどの美容上のトラブルにも見舞われます。
ここでは、睡眠不足によるリスクを6つ紹介しますので、参考にしてください。
不定愁訴に見舞われる
睡眠不足で自律神経が乱れると、不定愁訴に悩まされることが多いです。
自律神経が乱れた状態とは、交感神経が優位になって緊張した状態。もう一方の副交感神経が働かずに、リラックスできずに自律神経のバランスが崩れます。
また不定愁訴とは、自律神経が乱れたときに体に起こるさまざまな不調です。
めまいや耳鳴り、微熱、寒気、動悸などの身体の不調に見舞われます。また内臓の動きが悪くなるため、便秘や食欲不振などもおこります。
自律神経について詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。
関連記事:自律神経とは?副交感神経と交感神経について解説|リラックスの施術メニューもご紹介!
風邪などの感染症にかかりやすくなる
睡眠不足になると、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
なぜなら、睡眠不足で免疫が低下するからです。免疫は、ウイルスや細菌から人間の身体を保護する存在。
免疫が整っていれば、ウイルスが体内に侵入しても発症のリスクを抑えられます。
風邪はさまざまなウイルスが体内に侵入して、発症します。そのため、免疫が高い人は風邪をひきづらく、低い人はひきやすいといえるのです。
昨今はコロナウイルスが流行しているため、免疫の低下にはとくに注意が必要です。
肌の老化が進む
眠れない日が続くと、肌の老化が進みます。なぜなら、睡眠不足で成長ホルモンの分泌が低下して、肌のターンオーバーが遅くなるからです。
肌のターンオーバーとは、皮膚の代謝の仕組み。つまり皮膚の下層で生まれた細胞が、成長と共に肌表面に現れ、剥がれ落ちるまでの一連の過程を指します。
若さを保つ成長ホルモンをしっかり分泌させるためにも、良質な睡眠が欠かせないのです。
肥満になりやすくなる
睡眠不足になると体重が落ちづらくなり、肥満になる可能性があります。その理由は、脂肪や糖の代謝が低下して、エネルギーが消費されづらくなるからです。
エネルギーが消費されづらい体質で、運動や食事制限をしてもダイエットの成功は難しいでしょう。
睡眠時間が6時間以下の人は、肥満傾向にあり、糖尿病にもなりやすいという報告もあります。
イライラしてストレスを抱えやすくなる
睡眠不足になると、イライラしやすくなり、ストレスを抱えこむ可能性があります。
睡眠は、イライラや不安などの負の感情を処理するためにも大切な時間。嫌なことがあっても、一晩眠れば不安やイライラなどのネガティブな感情が弱くなります。
眠れなかった次の日の昼間などは、些細なことで感情的になり、心の余裕がなくなるような経験をした方も多いのではないでしょうか。
睡眠を足りていれば、気にならないことでも、睡眠不足だとイライラしてストレスを抱えてしまうこともあるのです。
集中力や判断力、思考力の低下を招く
睡眠不足は集中力や判断力、思考力の低下を招くため、仕事や日常生活上のミスが多くなります。
睡眠は疲れた脳を休める役割があるため、日中のパフォーマンス維持にも重要です。たとえば睡眠不足で集中力が低下すると、仕事中に思わぬミスをすることも。
判断力が低下した場合は、重要な場面で周囲の状況に合わせた的確な決断ができなくなります。そして思考力が低下すると、考えがまとまらなくなり、相手に自分の考えが伝えづらくなるのです。
良質な睡眠をとるための方法
ここでは、良質な睡眠をとるための方法を紹介します。まずは良質な睡眠について確認してみましょう。
良質な睡眠とは
良質な睡眠とは、次の状態を指します。
そして良質な睡眠を取るためには、日ごろから次に紹介するコツを実践するとよいでしょう。
良質な睡眠をとるための11つのコツ
良質な睡眠をとるためのコツは次のとおりです。
体温が下がった方が眠気を感じるので、就寝時には体温がほどよく低下した状態を目指すとよいでしょう。
また手のひらや足の裏は汗が蒸発して熱を放散する部分です。温めると、体温が下がらないため眠りづらくなる可能性があります。
直接、手足を温めるのではなく、レッグ―ウォーマーなどで足を覆わずに温めるとよいでしょう。
寝酒は気絶している状態と同じ
寝酒による睡眠は、気絶している状態と同じであり、質も低いため注意しましょう。
アルコールの分解で生じるアセトアルデヒドの影響で、一時的にレム睡眠になります。その後の反動でレム睡眠になるため、浅い眠りになり睡眠の質が低下するのです。
またアルコールの影響で、喉の筋肉が弛緩して気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
良質な睡眠をとるメリット
良質な睡眠を取ると心身の疲労が回復し、生活習慣病の予防をできるメリットがあります。
心身の疲労回復
良質な睡眠をとると心身がリラックスして、疲労が回復します。そのため身体が軽くなり、頭が冴えて、仕事やスポーツのパフォーマンス向上も期待できるでしょう。
成長ホルモンが分泌されて、筋肉や脳に蓄積した疲労が取り除かれるメリットもあります。
生活習慣が整う
よく眠れると日中に活動できるようになり、休息と活動についてオンオフの切替えが容易になるでしょう。
その結果、乱れた生活習慣も整います。生活習慣が整うと、睡眠時無呼吸症候群や不眠症などの原因も解消されるでしょう。
生活リズムにメリハリができ、体内のホルモンバランスも正常な状態を保ちやすくなります。
良質な睡眠が毎日の睡眠につながる!眠れない状態を解消しよう
質の高い睡眠は、心身の疲労回復と生活習慣病の予防につながります。
また成長ホルモンの分泌による美容効果や、心身の疲労回復が期待できるのです。
生活のリズムが整い、体内のホルモンもバランスがとれ、生活習慣病の予防につながります。
睡眠時無呼吸症候群や不眠症を予防するためにも、眠れない状態を解消しましょう。
ブレインパークでは眠れない状態を解消するために、ヒト乳歯歯髄幹細胞上清液を利用した施術を行っています。
鍼灸やヘッドマッサージと組み合わせて、脳疲労を軽減させる施術法です。
脳の疲れを解消すると睡眠の質も向上しますので、ぜひお試しください。