元競泳選手 藤森丈晴が解説する「呼吸法」

アスリートにとって大切な「呼吸」

人間が身体を動かすために、必要なエネルギーを作る要素の1つに酸素があります。酸素は肺で体内に取り込み、細胞の働きによって栄養を分解し、エネルギーに交換します。その時に不要となった老廃物は二酸化炭素として体内から排出する仕組みが「呼吸」です。「呼吸」は、アスリートが競技生活で活躍をするために大切なことであり、一般の方にとっても、健康促進や健康を維持するためにとても重要な機能です。スポーツ競技(アスリート)において競技者は、自己の能力を最大限に発揮するためには周囲からのプレッシャーを克服したり、ここぞという時には集中力を高めたり、あるいは必要に応じてリラックスをさせたりするなど自身の状態を理解しコントロールをしていく必要があります。

呼吸法を取り入れることで日常生活における健康促進や、維持への期待

日常生活において陥りがちな「浅く早い呼吸」は、心身ともにマイナスの影響を及ぼします。呼吸が浅いと血管は収縮して血行不良になり、全身が酸欠に近い状態になってしまうことや、内臓の働きも低下し、消化不良や便秘といった不調、体が重たく感じるなどが現れてしまいます。さらに、脳は酸素の25%を消費すると言われており、呼吸が浅くなって酸素を脳に送れなくなると、イライラしやすくなったり、不安感を覚えたり、思考もネガティブになりやすく、幸せの脳内物質と言われている「セロトニン」も不足してしまいます。これらの解消法として最も簡単に改善や向上が期待できるのが「呼吸法」なのです。

丹田式呼吸法

呼吸法の基本は「腹式呼吸」ですが、その中で今回は丹田式呼吸法をご紹介します。ポイントは、吸う息よりも吐く息を長くすること。5カウントで吸い、10カウントで吐く。慣れてくると、より深くゆっくりとした呼吸が楽にできるようになります。初めは横隔膜がうまく動かなくてうまくいかないかもしれないので、無理をせずリラックスして行える秒数から始めましょう。吐く時間を吸う時間の倍くらいにするといいです。そして、息を吐くときは、背中とお腹がくっつくぐらいになるまで吐ききってください。

(1)イスや床に座るか、仰向けで寝ころびます(1人静かな場所で集中できる場所)。まずは息を吐ききりましょう。この時、吐いていくと同時に下腹部が少しへこみ腹筋が少しずつ固くなるように意識をする。ただへこませるというのではなく、腹筋が少しかたくなることで結果的にへこむというイメージです。息を全部吐ききることが大切です。

(2)鼻から5秒かけて息を大きく、腹部が少しふくれるくらいまで吸い込みます。この時に胸をふくらませずに、丹田(おへそより指3、4本分下がったところにあるツボ)をふくらませることを意識しましょう。

(3) 口から10秒かけて息を吐く。吐きながら徐々に下腹部がへこんでいき、初めに吐ききった状態まで行えるようにしましょう。

(4)これを10回繰り返してください。繰り返すうちに体がポカポカしてきたら、きちんとできている証拠です。

 

アスリートにおけるパフォーマンス向上への期待

アスリートは普段の練習や試合、さらには周囲の期待や自分自身への期待といった様々なプレッシャーを無意識に日々受けています。それらを敏感に感じ続けてしまう事で、スランプに陥ったり、気持ちとは裏腹に身体が動いてくれないという現象が起きてしまいます。このような要因を振り払う事は至難の業なので、上手く付き合いながら競技生活を継続していく事が大事です。身体の機能や心の状態をリセットさせるためにも呼吸法が役に立ちます。さらに、集中力も高まることで、イメージトレーニングの前に行い効果をアップさることが期待できたり、試合などでは緊張が高まりやすくなるので良い状態までリラックスをさせたりと、用途は様々で幅広く応用できるものとなっています。

 

アスリートもそうでない方々も、自身の状態に合わせて活用してみてはいかがでしょうか。

 

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